研究概要 |
現在高出力のレーザーにおいて,レーザー光の短波長領域への効率の良い波長変換が求められている。そこで,波長変換素子として有名なKDP結晶に不純物として染料を加え,色素増感により光学特性の向上を図る。本年度では各種染料添加(Sunset yellow,Amaranth,Sky blue)による非線形光学結晶の偏光度を調べ,光学特性を評価する。 着色面で染料を含む(101)面は,染料濃度が増加すると偏光度が増加する。これは,吸収した染料分子が欠陥・転位などを引き起こし,複屈折を起こすためと考えられる。また,非着色面の(100)面も染料分子の吸着により引き起こされたステップ進行時の転位・欠陥により,偏光が起きると考えられる。偏光度の度合いは(101)面は(100)面より2-3倍程度強く影響を及ぼした。しかし,今回使用した染料では,種類の影響は見られなかった。つまり,染料分子の内部構造(環構造,アゾ結合等)が影響するのではなく,吸着・吸収特性による結晶格子の歪が偏光に及ぼすと考えられる。
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