研究概要 |
近年脚光を集めているバイオディーゼル燃料(Biodiesel Fuel, DF)の連続生産プロセスの構築を図るべく、連続クロマト反応器を用いたBDF原料である廃食用油中からの遊離脂肪酸および水の同時除去技術の確立を目指して、種々の検討を行った。まず、モデル遊離脂肪酸としてオレイン酸を、アルコールとしてエタノールを取り上げた。反応には関与しないが、実際系を想定してトリグリセリドである菜種油を基質溶液に加えた。触媒として、強酸性陽イオン交換樹脂であるDowex 50W-X2と代表的な固体超強酸触媒である硫酸化ジルコニアおよびタングステン酸ジルコニアのペレット成型物を用いた。反応温度75℃、振とう速度120spm、初期オレイン酸・エタノール濃度比1:18の条件の下、フラスコ規模の回分エステル化実験を行った。触媒投入濃度を同じにして上記3種類の触媒の活性の比較を行ったところ、固体超強酸触媒ではオレイン酸とエタノールのエステル化反応は進行しなかった。一方、イオン交換触媒では触媒濃度200g/dm^3の条件下で、反応開始5時間目でほぼ100%近くエステル化反応が進行した。これより、遊離脂肪酸の除去触媒としてイオン交換樹脂触媒が有効であることがわかった。また、イオン交換樹脂を触媒として種々の検討を行ったところ、1)触媒濃度が高くなると反応速度が高くなる、2)基質溶液中に水分が存在しても反応挙動に有意な差違が顕れない、3)初期オレイン酸・エタノール濃度比が低くても比較的短時間で高い反応率を達成する、4)エステル化に比べエステル加水分解速度は遅い、ことがわかった。以上の結果を踏まえ、現在Langmuir-Hinshelwood型の速度論モデルを構築して、理論に基づき連続反応分離装置の制作を試みているところである。
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