研究概要 |
廃食油や植物油を出発原料として合成される高級脂肪酸エステルは、バイオディーゼル燃料(BioDiesel Fuel,以下BDF)と呼ばれ、環境調和型燃料として近年注目されている。研究代表者は、これまでに安価な固体金属酸化物触媒を充填したBDF連続合成反応プロセスの開発研究を行い、遊離脂肪酸をほとんど含まない植物油(菜種油)を原料とした場合比較的高い触媒活性が得られるが、実際の廃食油の組成に近い油原料(遊離脂肪酸や水分を含む)を用いた場合には触媒の活性が著しく低下することを確認している。これらの問題点を解決すべく、本研究課題では固体酸触媒を充填した連続クロマト反応器の遊離脂肪酸および水除去用反応分離装置としての有効性を実験と理論の両面から明らかにする。 本年度は前年度に得られた水素型陽イオン交換樹脂を触媒とし、オレイン酸とエタノールを基質とする回分エステル化反応実験結果を基にカラムクロマト反応器に関する数学モデルを構築し、反応挙動の解析を行った。反応生成物のうち、イオン交換樹脂に対する親和性は水分が最も高く、クロマト反応器を用いることで水分除去可能なことが示された。また、カラムクロマト反応器に関する数学モデルを拡張して、環状クロマト反応器に関する数学モデルを構築した。モデルによるシミュレーション結果より、環状クロマト反応器を用いることで油中から遊離脂肪酸と水分を同時かつ連続的に除去できることが示された。
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