リン酸-酸化タングステン・酸化ニオブの原料からなる混合酸化物触媒がFriedel-Craftsアルキル化反応に高活性を示すことを見出した。^<31>P NMRによる解析の結果から、Nbを1原子含んだKeggin型のヘテロポリ酸であるH_4PNbW_<11>O_<40>が調製時に自発的に生成し、これが熱分解する際に、WO_3-Nb_2O_5上で一次構造の一部が崩壊し、活性種が形成されていることが分かった。さらにH_4PNbW_<311>O_<40>を合成し、WO_3-Nb_2O_5と混合したのち、500℃で熱分解させることで活性を2倍に高めることに成功した。NH_3-TPDによる酸性質の解析の結果、Keggin構造のフラグメント化に伴い新たな強酸点が発現していることがわかった。この触媒は通常は困難な反応であるカルボン酸を使ったFriedel-Craftsアシル化反応にも高活性を示し、環境調和型の反応にも適用できることが示された。一方、Dawson型ヘテロポリ酸であるH_6P_2W_<18>O_<62>・24H_2Oを焼成すると、一部が水に不溶性の固体が生成することを見出した。焼成前の表面積は2m^2g^<-1>程度であるが、260-300℃で焼成し水で洗浄すると、20-30m^2g^<-1>まで表面積が増大することが分かった。XRDなどの結果より、焼成における結晶水の脱離に伴って不溶化されていることがわかった。この触媒はカルボン酸を使ったFriedel-Craftsアシル化反応に高活性・再利用性を示し、新しい触媒として期待される。
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