研究概要 |
本年度は、我々がアシル化ホモセリンラクトン(AHL)分解細菌としてアユ腸内フローラから単離したShewanella sp. MIB015株からAHL分解遺伝子のクローニングを行った。Shewanella属細菌の中には全ゲノムが解読されているS. oneidensis MR-1株があり、MR-1株のゲノム上には既知のAHLアシラーゼと相同性の高い遺伝子aac(aculeacin A acylase)が存在することを発見した。この遺伝情報を基に、MIB015株ゲノムを鋳型に縮合PCRおよびInverse PCRを行うことにより、aacホモログをクローニングすることに成功した。MR-1株およびMIB015株のAACを大腸菌内で高発現させ、N-decanoyl-_L-homoserine lactone(C10-HSL)に対する分解活性を調べたところ、MR-1株由来AACはほとんどC10-HSL分解活性を示さなかったが,MIB015株由来AACは顕著なC10-HSL分解活性を示した。MR-1株由来AACとMIB015株由来AACはAHLアシラーゼ活性部位とされるアミノ酸配列は全て保存されていたため、僅かに異なるアミノ酸による立体構造のずれがこの活性の違いを生み出しているものと思われる。さらに、MIB015株由来AACによるAHL分解産物をHPLCにより解析を行ったところ、AHLのアミド結合が切断されることにより生成されるホモセリンラクトンと一致するピークが検出されたため、MIB015株由来AACはAHLアシラーゼであることが確認できた。
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