研究課題
本年度は、酵母に導入を目指している申請者の発見した新規L-アラビノース代謝経路に関する生化学的・分子生物学的な解析を行った。当該経路に含まれるAraA・AraB・AraC・AraD・AraEタンパク質をL-アラビノースを炭素源として生育させた細菌の無細胞抽出液中からクロマトグラフィーによって電気泳動的に単一に精製した。決定したN-末端アミノ酸配列を元にそれぞれの遺伝子の全長を含むDNA断片をクローニングした。興味深いことに、これらの遺伝子はバクテリアのゲノム上でオペロンを形成していた。クローニングした遺伝子は、N-末端にヒスチジンタグを付加した組み換え酵素として大腸菌で発現させ、精製酵素がネイティブ酵素と同様な活性を有すること、またHPLCの解析からL-アラビノースがAraA〜Eによって最終的にα-ケトグルタル酸まで変換されることを明らかにした。分子系統学的解析から、このL-アラビノース代謝経路は、グルコース代謝のEntner-Doudoroff経路やリン酸化を伴わないEntner-Doudoroff経路等の他の糖代謝経路とモザイク状に進化学的相関があることを明らかにした。AraCタンパク質の精製酵素は茶色を呈しており何らかの金属を含んでいることが推察されたので、電子常磁性共鳴(EPR)によって解析を行い新規4Fe-4Sクラスター含有タンパク質であることが明らかになった。また、部位特異的変異法によって酵素活性や金属クラスターの結合に重要な役割を果たす活性部位を同定した。また、D-glucarate/D-galactarate誘導性およびhydroxy-L-proline誘導性のAraEタンパク質の2つのアイソザイムを同じバクテリアから精製し遺伝子のクローニングに成功した。
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