研究課題
本年度はまず、昨年度に同定した新規L-アラビノース代謝経路に含まれる酵素のL-KDA脱水酵素(AraD)のユニークな反応機構を解明する目的で立体構造解析を開始した。具体的には、大腸菌で発現させた組み換え酵素を用いて結晶化を行った。その結果、50mM Tris-HC1 pH7.5,0.4M NH_4H_2PO_4,5%(v/v)2-propanolの条件で良好な結晶を得ることができた。X線回折データ収集は、兵庫県西播磨にある放射光施設Spring8で行った。最終的に2Å分解能のネイティブ酵素の立体構造解析に成功した。引き続いて、反応阻害物質であるピルビン酸との複合体結晶構造解析に着手し、同様に構造決定に成功した。5つのL-アラビノース代謝遺伝子を酵母発現用ベクターに組み込み、酵母細胞内での発現の有無を調査した。その結果、いくつかの遺伝子が酵母内では発現しないことが明らかとなり来年度の研究計画の見直しを行った。具体的には、L-アラビノース代謝経路とEntner-Doudoroff経路やリン酸化を伴わないEntner-Doudoroff経路等の他の糖代謝経路との進化学的相関の知見をさらに発展させ、ピキア酵母の有する未解明のL-ラムノース代謝経路に関わっていると思われる遺伝子クラスターの同定に成功した。本発見は学術的に極めて興味深いものであるので引き続き研究を進めていくことにした。
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