研究課題
昨年度末より、木質および草本系バイオマスに含まれるペクチンの主要構成成分であるL-ラムノースのサッカロミセス酵母による発酵を目指した研究を開始した。サッカロミセス酵母と異なり、ピキア酵母が固有のL-ラムノース代謝能力を持つことに着目し、ゲノム配列をもとにバイオインフォマティックスおよび生化学・分子生物学的手法を駆使することで、最終的に4つの代謝遺伝子であるL-Rhamnose l-dehydrogenase・L-Rhamnonolactonase・L-Rhamnonate dehydratase・L-2-Keto-3-deoxyrhamnonate(L-KDR) aldolaseの同定に成功した。また、同じ代謝経路が細菌の中にも存在し、L-KDR aldolaseが酵母由来のものとは全く異なることを明らかにした。引き続いて、最終産物の1つであるL-lactaldehydeの酵母における代謝様式の解明に着手し、細菌と同じL-Lactaldehyde dehydrogenaseによってL-乳酸に変換されること、一方で遺伝子の系統関係は細菌由来のものとは遠いことから、真核生物とバクテリアの当該経路は代謝様式は同じであるものの進化的には独立に生じたことが明らかとなった。さらに、これらの一連の結果をもとに別の細菌において当該経路とはさらに一部異なるL-ラムノース代謝経路の存在を発見した。この中でL-KDRは、L-KDR 4-dehydrogenaseおよびL-2,4-Diketo-3-deoxyrhamnonate hydrolaseによって最終的にピルビン酸と乳酸(L-lactaldehydeではない)が生じる。今後は、同定した遺伝子のサッカロミセス酵母を構築し、L-ラムノース代謝能の付与を検討していく予定である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
FEBS Journal 276
ページ: 1554-1567
Journal of Biological Chemistry 283
ページ: 20372-20382
FEBS Journal 275
ページ: 5139-5149
Journal of Bioscience and Bioengineering 105
ページ: 296-299
Applied Microbiology and Biotechnology 81
ページ: 243-255
Extremophiles 12
ページ: 107-117
化学と教育 56
ページ: 612-613