研究概要 |
非球形マイクロ液滴を作製可能なマイクロチャネル(MC)アレイの構造設計を計算機手法であるCFD (Computational Fluid Dynamics、数値流体力学)を利用して行った。その結果、矩形チャネル出口にチャネルと同程度の高さのステップを設けることで矩形チャネルを介して円盤状のマイクロ液滴が安定的に作製されることを見出した。そして、この知見に基づいてシリコン製のMCアレイ基板(MCA-A,チャネル幅27.2μm、チャネル高さ5.0μm、ステップ高さ4.8μm;MCA-B,チャネル幅10.2μm、チャネル高さ1.9μm、ステップ高さ4.6μm)をフォトリソグラフィ、高周波誘導結合プラズマエッチング、熱酸化等のプロセスにより製作した。 MCA-Aを用いた場合では、矩形チャネルおよびステップを通過した分散相(精製大豆油)が連続相(1.0wt%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液)で満たされている井戸部で円盤状の均一径微小油滴(平均直径28.3μm、平均高さ9.8pm、直径の変動係数2.4%)が作製された。またMCA-Bを用いた場合では、数ミクロン径かつ均一径の円盤状微小油滴(平均円盤径8.2μm、平均円盤高さ4.6μm、円盤径の変動係数2.8%)を作製することができた。以上より、サイズが制御された均一径の円盤状微小液滴が、本年度開発した微細構造が制御されたMCアレイを用いることで作製できることが示された。 また、本年度は、液滴作製用のMCアレイおよび液滴変形用のMCアレイを有するシリコン製の基板も開発した。この基板に加工された液滴作製用のMCアレイから均一径の円盤状微小油滴が連続的に作製されることを示したとともに、前記微小液滴の形状が液滴変形用のMCアレイに進入して栓状に変形することも示した。
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