宇宙用太陽電池アレイ列間での放電現象発生条件を調べるための予備検証として、レーザー誘起プラズマ試験を行った。レーザー発振器にはNd-YAGレーザー(波長:1064nm、エネルギー:780mJ)を使用し、高真空中(10^<-4>Pa)に設置した太陽電池セル上でφ0.1mmに集光させた。発電状態の太陽電池アレイを模擬するために、Solar Array Simulator(最大電圧:120V、最大電流:4A)を用いた外部回路を作製し放電状態を確認すると共に、プラズマ密度および温度をトリプルプローブ法により計測した。結果、プラズマ密度および温度は、それぞれ5×10^<18>〜4×10^<19>m^<-3>、2〜6eVであることがわかり、低地球軌道上の定常プラズマよりもかなり高いプラズマ状態を実現することができた。また、複数の電圧/電流条件での試験を行い、110V/3Aで二次アーク放電が起こり、110V/4Aで数回持続放電が起こったことから、この条件付近で持続放電が起こる可能性があることがわかった。 レーザー試験の結果を受けて超高速衝突試験を行った。直径3mmの飛翔体を二段式軽ガス銃により1.5〜2.5km/秒に加速し、太陽電池アレイ列間に衝突させた。その結果、プラズマ密度は5×10^<14>〜1×10^<16>m^<-3>であり、飛翔体速度により指数関数的に増加していることから、実際のスペースデブリ衝突速度である7.5km/時でのプラズマ密度を見積もると、1×10^<19>m^<-3>のオーダーとなった。これはレーザー試験とほぼ同じ値であり、超高速衝突試験より数段簡便な試験であるレーザー試験の有効性を示すことができた。 また、Solar Array Simulatorで実現できる最大電圧値は持続放電発生条件のしきい値付近である可能性があることから、最大電圧192V、最大電流4.8Aの大容量定電流電源を自作し、安定に作動することを確認した。
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