研究概要 |
昨年度は,物体表面に作用する圧力と摩擦力を同時計測するための機能性分子センサの特性試験,及び風洞模型実験を行った.特性試験では,コーティング材となるバインダと機能性分子センサの混合比を変えて感度特性を調べた.センサの感度特性は気流条件によって変化する.センサ特性試験により得られた系統的な情報を基に,低速流れから超音速流れまで幅広い実験条件に適した混合比を定めることができた.2台のCCDカメラを用いて物体表面の圧力分布と摩擦力分布を同時に可視化,計測できるシステムを構築した.初めに,低速風洞を用いて,円柱表面の圧力・摩擦力の同時計測を行った.機能性分子センサによる低速風洞実験は,高価なカメラや感度のよいセンサを必要とする.本実験では安価なRu錯体塗料と12bitカメラを使用しているが,通風中の撮影画像枚数を増やして,適切な後処理を行うといった工夫をすることで,模型表面の圧力分布を定性的に測定することができた.摩擦力分布の可視化において,円柱周りの流れが層流から乱流に変化するときに生じる剥離位置の変化を捉えることができた.オイルフローによる可視化結果とも定性的に一致した.模型表面にマーカ点を設置することで,簡単な画像処理により3次元データにマッピングすることが可能であることを確認した.模型に作用する圧力と摩擦力を積分すれば天秤を用いない空気力システムが構築できる.
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