研究課題
本研究は、舶用プラントの沸騰伝熱管内等に形成する環状噴霧流を対象にした界面積濃度輸送方程式の開発を最終目的とし、液膜・液滴界面積濃度計測手法の開発、断熱系垂直管上昇気液二相流実験における環状噴霧流界面積濃度の時空間変動特性に関するデータベースの構築、および液膜界面波の発達と液滴発生の相互作用を考慮に入れた環状噴霧流界面輸送項の機構論的モデリングを行うものである。最終年度となる平成19年度は、開発された液膜・液滴界面積濃度計測手法を用いて、断熱系垂直管上昇気液二相流実験における環状噴霧流界面積濃度の時空間変動特性に関するデータベースの構築および環状噴霧流界面積濃度の管軸方向変化に関する予測式の開発をそれぞれ以下のように実施した。1.環状噴霧流界面積濃度のデータベース化内径11mm垂直管上昇環状噴霧流の未発達域から完全発達域(テスト管入口からの距離z=550mm〜2750mm)に渡る界面波の時空間変動特性を実験的に捉え、液膜・液滴界面輸送メカニズムの解明に資する精度の高いデータベースを構築した。特に、プラントの熱設計において重要であるドライアウト点の予測に密接に関係する最小液膜厚さの挙動、また、界面積濃度の生成・消滅項をモデル化する上で重要となる擾乱波特性、管断面液滴径分布を、重力方向に対し精査した。具体的には、環状流域から環状噴霧流域に至る広範な流動条件において、液膜界面積濃度、液膜厚さ(最大、最小、平均)、擾乱波通過頻度を、管軸方向の複数点にわたり測定し、液膜の質量・運動量輸送と界面積濃度輸送に関する諸物理量を整理するとともに、既存の実験式、理論式との比較を行った。2.環状噴霧流界面積濃度予測式の開発液膜厚さと液滴飛散量の管軸方向変化を考慮した環状噴霧流界面積濃度の予測式を検討した。また、得られた液膜界面積濃度の計測結果との比較から、作成した予測式の適用性を評価した。
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