研究概要 |
音響レンズを用いた実時間画像取得装置を開発するために、音響レンズに最適な設計に関する検討を実施した.水中監視用音響レンズとして必要な設計要件として, ○視程距離数10m程度、広視野角を持つこと ○画像の質を確保するため、像の歪み・ボケを小さくすること があるが,レンズを複数枚組合せる、あるいは非球面レンズを導入することで、上述の要求を満たせると考えた。視程距離、視野角(広角化)、収差低減等の条件を含めると組合せは無数に存在するため、簡易に光線理論(すなわち音波で言うところの音線理論に相当)のできる光学系レンズ設計ソフトを導入し,水中音響レンズ設計法を確立しようと考えた.そこで,音線による設計は光学系レンズ設計ソフトによって可能であり,おおよそ設計に近い結果を取得することができる.しかしながら,音波の波動的広がりを考慮していないことによる映像のボケが生じる可能性があると考えられる.そのため,音波の波動的広がりを実験的に取得しすることを目標とした. 視野全角で8°(像径φ21.6mm相当)までは幾何光学的にφ0.55mm以下の像ボケしか生じないとした水中音響レンズを製作した(H18年度日本科学協会笹川科学研究助成による).PE法による数値計算において,入射角0〜4度の場合の水中音響レンズ後方の音場は設計と合致した.さらに,水槽実験により水中音響レンズ後方の音場を実験的に取得し,設計通りであることを確認すべく実験を行った.実験を実施した条件にあわせた数値計算は,実験による音場に非常に近い結果となった.詳細解析は現在実施中である.ここで,所属を変更したため新たな計測システムの導入が必要となった.水中音響レンズの音場,特にH18年度の課題である像ボケの計測には,センサー及び水中音響レンズの精密な位置決めが決め手である.そこで,3軸位置決め装置および先端の直径が1mmのニードルハイドロホン(水中マイク)を(H18年度本助成による)用いたシステムを構築した.
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