研究概要 |
X線CT専用移流拡散実験装置の開発およびその性能評価 18年度では,本研究に関連する移流分散解析を行った研究成果の論文を一編とX線CTスキャナを使用して局所的な水の流入によって生じる地盤構造の変化を可視化した研究成果に関する論文を一編を執筆し国際会議において口頭発表した.この成果を踏まえて,遮水バリヤ劣化後の漏水メカニズムを可視化するためにX線CT専用移流拡散実験装置の開発に着手した.X線CT室内域で実施可能なあらゆる実験は,1)X線の物理特性,2)撮影領域内の空間的制限および3)被検体テーブルの積載重量の制限によって影響を受ける.これらの点をすべてクリアした移流拡散実験装置を開発し,まず装置としての機能性を確認・評価した.18年度では,シンプルな現象を観察するために、排水層として砂利,バリア層として細粒分含有率が異なる3種類の砂地盤材料を敷設した.劣化に伴う局所的な水の浸透現象を、1点集中式のノズルで水を注入しこれに伴う細粒分の損失状況をX線CT画像解析により評価した.粗粒分含有率が高い地盤では,土粒子間が互い接触する箇所が多いために,局所的な水の流入によって地盤の間隙構造の変化が,細粒分含有率が高い地盤と比較して顕著でない.一方細粒分が多い地盤ほど,細粒分の損失が粗粒分の集中することを促し,局所的に透水性が良くなる現象が観察された.この結果より、局所的な水および汚水の浸透は、細粒分の流出により地盤の空隙構造を変え、そのことにより地盤内の汚染を加速させることがわかった.
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