核融合プラズマ実験において、巨視的な磁気流体不安定性はプラズマの巨視的な変形を伴いプラズマ閉じ込めを劣化させる。また、微視的不安定性による乱流(微視的乱流)は異常輸送を引き起こし、プラズマ閉じ込めを劣化させる。従来は、巨視的な磁気流体不安定性と微視的乱流のそれぞれのプラズマ閉じ込めへの影響は、空間スケールが分離されているために、独立に研究されてきた。しかし、現実のトーラス磁場閉じ込めプラズマ実験では、巨視的な磁気流体不安定性、微視的乱流および輸送障壁形成に関連したゾーナル流は共存する。そして、これらの現象の階層間相互作用の結果として、プラズマ閉じ込めを劣化させる過程は、ほとんど理解されていない。巨視的磁気流体不安定性と微視的乱流およびゾーナル流が共存し非線形相互作用することによりプラズマ閉じ込めが劣化する過程を明らかにする目的で研究を行う。 特に、平成20年度は、乱流と巨視的磁気流体不安定性の相互作用が熱輸送に与える影響、および巨視的な磁気流体不安定性が乱流に与える影響について研究を行った。その結果、乱流と巨視的磁気流体不安定性の相互作用は熱輸送を増大させることを明らかにした。また、巨視的磁気流体不安定性は磁気面を壊すことにより乱流のバルーニング構造を壊し、乱流強度を抑えることを明らかにした。
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