研究概要 |
磁気島はプラズマ抵抗の有限性のために磁力線が結合することにより生じる現象である。本研究では核融合プラズマの磁気島として,トカマクの新古典テアリングモード(NTM)に起因する磁気島に着目し,外部摂動を加えた時の磁気島の応答特性を明らかにすることを目的としている。今年度は,電子サイクロトロン電流駆動(ECCD)によりNTMを能動的に安定化することを実証するとともに,ECCD印加時における磁気島の応答特性を調べた。JT-60ではこれまでプラズマへの影響が小さいm/m=3/2のNTMの安定化を実証してきた(mはポロイダルモード数,nはトロイダルモード数)。今回,閉じ込め性能に与える影響が大きいm/n=2/1のNTMの安定化を行った結果,NTMを完全に安定化することに成功した。また,ECCD位置と安定化効果に関し,(1)ECCD位置とNTM発生位置とのずれが磁気島幅の半分程度以内の場合にのみ安定化効果が強く現れる,(2)ECCD位置とNTM発生位置とのずれが磁気島幅程度の場合はNTMは不安定化される,ということを実験的に明らかにした。また,ECCD位置とNTM発生位置とのずれを小さくすることにより,少ない電子サイクロトロン(EC)波パワーで安定化できることを示した(NTM発生位置における電子サイクロトロン駆動電流密度と自発電流密度との比で約0.5)。さらに,TOPICSコードを用いたNTMのシミュレーションを実施した。シミュレーションで用いるモデルには未定係数が含まれるが,特定の実験において係数を定め,それを他の実験に適用した。その結果,上記実験における安定化や不安定化がよく再現されることが明らかになった。また,ECCD分布の幅と安定化効果に関するTOPICSシミュレーションを行った結果,ECCD幅を狭くすることにより少ないEC波パワーでNTM安定化ができることが明らかになった。
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