本研究では実験に近い開放系のトーラスプラズマの第一原理シミュレーションを目的としたグローバルジャイロ運動論的トロイダルプラゾフコードの開発を行い、これにより定常輸送や輸送遷移といった長時間の乱流シミュレーションが必要な問題を研究する。今年度は保存型ジャイロ運動論的トロイダルブラゾフコードGT5Dを完成させた。イオン温度勾配駆動(ITG)乱流の完全トーラス配位シミュレーションにおいてGT5Dと従来の粒子コードの定量的ベンチマークに成功し、コードの物理的妥当性を検証した。成果の概要は以下の通り。 1.昨年度に開発したスラブ配位のジャイロ運動論的ブラゾフコードG5Dのトーラス配位への拡張を完了しGT5Dを完成させた。 2.従来の粒子コードとITG乱流シミュレーションにおける数々の線形および非線形のベンチマークテストを行い、定量的に一致する計算結果を確認した。また、長時間乱流シミュレーションにおいてGT5Dの極めて高い計算精度と数値的安定性を示した。 3.上記ベンチマークテストにおいて、全く異なる計算手法のトロイダルジャイロ運動論的シミュレーションを用いて、世界で初めてITG乱流の大域解を同定することに成功した。 以上の成果を欧州物理学会プラズマ物理会議等で発表した。
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