本研究課題に基づき500kHzサンプルの高速データ収集系を導入し、トカマク実験装置JT-60Uに設置されたモーショナルシュタルク効果計測装置の測定系に適用した。これにより計測用中性粒子ビームをプローブとして入射することで高圧力プラズマにおいて密度揺動および磁場揺動の空間分布測定を行った。 1.本計測を利用して、高圧力プラズマにおいて発生する磁場の乱れに起因する密度揺動測定に成功した。プラズマは磁力線に凍り付いていることから、密度揺動は磁場揺動も表している。密度揺動の空間的な相関解析を行い、電磁流体力学的に不安定な安全係数q=2となる位置を境にして密度揺動の位相が反転していること、密度揺動の強度がq=2となる位置で極小になり両サイドに極大を持つことを示し、磁場の乱れが島状の構造(磁気島)を形成して回転していることを明らかにした。 2.さらには高圧力プラズマの周辺部に局在する電磁流体力学不安定性にともなって吐き出されるプラズマの伝搬の測定にも成功した。すなわち、プラズマが吐き出されたことに起因する密度の増加が0.7〜2.2km/sの速度でプラズマ外を伝搬していく様子を、密度揺動の空間分布の時間変化から明らかにした。本成果を国際会議・国内会議で発表すると共に、雑誌論文として投稿し掲載された。 さらに本計測を利用することで、従来利用されてきたプラズマ外からの磁場揺動測定では困難であった弱い磁場揺動であっても、密度揺動を通して測定することにより磁場の空間構造の詳細測定が可能であることがわかった。
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