研究概要 |
本年度は測定系およびデータ収集系の構築ならびにデータ解析用ソフトウェアの開発を中心に研究を行い,以下の結果を得た. (1)CdTe半導体検出器の検出効率やエネルギー分解能を,実験的に精密に決定した.その結果,ガンマ線(光子)に対してはX線領域から400keV程度まで,電子線に対しては600keV程度までは実用的に十分な効率を持っていることが分かった.ただし,波形立ち上がり時間による弁別を行うと検出効率が大幅に減少するため,高エネルギーでの測定は困難である. (2)CdTe半導体検出器とデジタルオシロスコープを接続し,検出器の増幅器からの信号波形をデジタル化し,連続的にパソコン上に保存するシステムを構築した.1秒あたりの少なくとも10個程度の波形を取り込むことができることを確認した. (3)(2)で収集したデジタル波形データをオフラインで解析するソフトウェアの開発を進めた.これまでに,波形の最大波高値を決定し,エネルギースペクトルを作成する機能を構築した.現時点では波高値の決定方法に曖昧さが残っており,今後の改良が必要ではあるが,概ねマルチチャンネル波高分析器の出力と同等な結果が得られている.これにより,本研究課題の目的の一つであるエネルギー分析に関しては,第1段階としてはほぼ達成できたと言える. 来年度は,波高値決定方法の再検討を進めるともに,放射線の種類弁別を行うための基礎データ(校正用データ)の測定を行い,解析ソフトウェアの開発を行いたい.
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