研究課題
本年度は、RFQ線形加速器中の入射部分に置かれたイオン源のビーム引き出し電極が、加速器の性能に影響を与えるか否かを明らかにするために、既存のビーム引き出し電極を用いて予備実験を実施し、その結果を考慮して、加速器内部ビーム引き出し用ビーム引き出し電極の設計検討を行った。1.予備実験:空洞の高周波特性の測定及び、加速電極のビーム加速方向の電場分布測定を行った。高周波特性の測定では、既存のビーム引き出し円筒電極を加速器空洞内部に挿入し、ネットワークアナライザーを用いて、low powerで高周波特性の計測を行った。ビーム引き出し電極挿入距離を変化させたところ、挿入距離に応じて空洞の共振周波数が減少したが、その変化は設計共振周波数100MHz、Q値4000の空洞に対して7kHz程度であった。従ってその周波数変化は0.01%程度であり、空洞の共振周波数にはほとんど影響を与えないことが明らかになった。電場分布の測定については、誘電体を用いた摂動法により行った。加速電極上に誘電体を設置し、その加速軸方向位置を変化させ空洞の共振周波数の変化を測定することにより電場分布を求めた。その結果、加速器中のビーム引き出し電極は電場分布にほとんど影響を与えないことが明らかになった。2.引き出し電極の設計検討:ビーム引き出し電極の加速器空洞特性への影響がほとんど無いことが明らかになったため、本研究課題用ビーム引き出し電極は、高周波特性に対する影響は考慮せず、ビーム引き出し計算を行って設計検討を行った。
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Proceedings of the 3rd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japanand the 31th Linear Accelerator Meeting in Japan 3
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