超音波照射によって誘起される化学反応(ソノケミストリー)は、系外からの非接触な化学操作が可能であることから、系を汚さないクリーンな化学プロセスとして、さまざまな分野で応用が進んでいる.水溶液に対する超音波照射は微細な気泡の生成を誘起し、この気泡の崩壊に伴い水素ラジカル(H・)やOHラジカル(OH・)が発生するため、遠隔からの超音波照射による酸化・還元双方向への原子価操作が実現できる.このような特性を持つ超音波照射の核燃料再処理分野への応用を見込み、超音波照射によるアクチノイドの遠隔原子価調整法を開発することを目的とする。この目的の達成のために、本年度は以下のことに取り組んだ。 まず、Np(VI)およびPu(VI)の還元実験を試み、触媒を用いなくても外部超音波照射(600kHz)のみを行なうことにより、Np(VI)はNp(VI)へ、pu(VI)はPu(VI)へと還元されることを明らかにした。さらに、触媒を用いることではNp(V)はNp(IV)へ、Pu(IV)はPu(III)へと還元されることを見出し、陰イオン交換樹脂を用いるU/Np/Puの分離スキームを提案することができた。
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