研究概要 |
平成19年度では,まず前年度構築した人の麻酔薬に対する反応モデル(コンパートメントモデル)を用いて,適応制御則の構築を行った.特に,スタンダードな適応制御器の開発に加え,ニューラルネットワークを用いた適応・学習側の開発を行った.既に先行研究において,脳波計測から導かれるBIS信号はノイズを含むことがわかっていが,このノイズの影響をアクチュエータの出力において軽減させるための方策は次年度の研究課題となった.これに先立ち,現在はノイズが持つ特性を解析し,周波数や強度などの特徴量を抽出する作業中である.また,ノイズの成分を平滑化するために,オブザーバの導入やフィルタの使用の可能性を検討中である.さらに,コンパートメントシステムとしての汎用性を鑑み,システムとして確率的要素を取り込んだモデルを再構築し,確立微分方程式で表されるシステム表現の必要性に関する知見を得た.この確立微分方程式によるコンパートメントシステムの表現形式は,麻酔薬の投薬ダイナミクスのみならず汎用的であるため,他の生物・生理学システムの保存則を伴うシステムに対してもその確率的振る舞いを有効に表現できると期待される.
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