研究課題
沿岸帯に生息する沈水性植物群落が動物プランクトンに棲み場所を提供することで富栄養化の原因となる植物プランクトンの増殖を抑制するトップ・ダウン制御について、レジームシフト予測論文を2007年のEcology Letters誌に出版しました。現在新たに進めている予測モデルは、沈水植物とともにレジームシフトに強く影響していると考えられる底生付着藻類がもつボトム・アップ効果の研究を、デンマーク国立環境研究所と共同で生データを基に、より実践に即したレジーム・シフト予測モデルの開発に取り組んでいます。その結果、底生付着藻類も沈水植物と同様、湖沼のレジームシフトに大きく影響を与えることが理論的に裏付けられました。さらに近年では、湖沼の一次生産のうち、沖帯における生産(植物プランクトン)に加えて、沿岸帯における生産(底生付着藻類)も無視できないことが分かってきています。富栄養化に対する湖沼全体の一次生産量の変化を、湖沼の規模と形状を考慮して、実際の野外データを用いて予測した研究はこれまでにありません。そこで、水中内の光条件に依存した光合成モデルを湖沼全体の一次生産モデル(植物プランクトン+底生付着藻類)に組み込み、湖沼全体の一次生産量を理論的に計算したところ、湖沼の規模や形状によっては、栄養状態が貧栄養(底生付着藻類優占)から富栄養(植物プランクトン優占)状態へとレジームシフトが起こるときに一時的に湖沼全体の一次生産量が減少することが明らかになりました。栄養塩の負荷量の増加とともに湖沼全体における一次生産が単純に増加するわけではなく一時的に減少するという結果は、湖沼生態系では初めての理論的な発見です。
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