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2008 年度 実績報告書

根の窒素吸収能力の種間差が植物の相対生長速度の多様性をもたらす機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18770022
研究機関国際基督教大学

研究代表者

大曽根 陽子  国際基督教大学, 理学研究科, 研究員 (60407187)

キーワード光合成 / 窒素 / 根 / 窒素吸収能力 / 成長解析 / SLA / 相対成長速度
研究概要

植物を十分な光、栄養のもとで育てても、その生長速度には種間で大きな違いがある。本研究の目的は、このような相対生長速度の多様性が植物のどのような性質によって生じているのかを明らかにすることである。従来、相対成長速度の多様性の決定要因としてはSLA(比葉面積=葉面積/葉重)の種間差が大きな役割を果たすことが指摘されていた。たしかに、同じバイオマス量でより大きい面積の葉を作れればそれだけバイオマスの利用効率が高くなり、成長速度を大きくできることは直感的にも妥当に思われる。本研究では、しかし、SLAを大きくするだけでは成長速度を大きくする効果はほとんどないことを理論的に明らかにした。仮に一枚の葉のもつ窒素量をそのままで、SLAを大きくしていくと、葉面積あたりの葉の窒素濃度は低下し、葉の窒素濃度と相関のある葉面積あたりの光合成能力はSLAと反比例するように低下してしまう。SLAを大きくした時に、成長速度を大きくするためには、SLAによるこの光合成能力の低下を補償するなんらかの要素が必要である。本研究ではその要素が根の窒素吸収能力であることを理論的に予測し、実際に複数の植物を用いた実験によって、根の窒素吸収能力とSLAには、根の窒素吸収能力がSLAの増加によって葉面積あたりの光合成能力の低下をちょうど補うような量的関係があることを示した。さらに、このSLAと根の窒素吸収能力の量的関係が幅広い種にグローバルに適用できることを示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A paradox of leaf?trait convergence : why is leaf nitrogen concentration higher in species with higher photosynthetic capacity2009

    • 著者名/発表者名
      HIKOSAKA, Kouki
    • 雑誌名

      Journal of Plant Research (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 小笠原乾燥尾根部に生育する植物の葉と茎の生理生態学的特性2009

    • 著者名/発表者名
      石田厚
    • 雑誌名

      地球環境 14

      ページ: 85-87

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 小笠原乾燥尾根部に生育する植物の葉と茎の生理生態学的特性2009

    • 著者名/発表者名
      石田厚
    • 雑誌名

      小笠原研究 34

      ページ: 9-31

  • [雑誌論文] Correlation between relative growth rate and specific leaf area requiresassociations of specific leaf area with nitrogen absorption rate of roots2008

    • 著者名/発表者名
      OSONE, Yoko
    • 雑誌名

      New Phytologist 179

      ページ: 417-427

    • 査読あり
  • [学会発表] ミヤコグサの窒素獲得における窒素固定寄与率のエコタイプ間変異2009

    • 著者名/発表者名
      中田望
    • 学会等名
      日本生態学会第56回大会
    • 発表場所
      盛岡
    • 年月日
      2009-03-21
  • [学会発表] 栄養塩環境変動に対するアカカギと在来樹種の反応2008

    • 著者名/発表者名
      大曽根陽子
    • 学会等名
      第40回種生物学シンポジウム
    • 発表場所
      守谷
    • 年月日
      2008-12-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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