前半は昨年度、得られたデータの解析をすすめるとともに、野外調査の準備を行った。 後半は2006年10月29日から12月9日までオーストラリア、フィリップ島のリトルペンギン営巣地において野外調査を行った。2006年の繁殖状況は悪く、エルニーニョ現象の影響と思われた。そのため、リトルペンギンに深度・加速度ロガーを装着したものの、採餌トリップが通常に比べ2-3倍も長く、回収率は低く、また繁殖を放棄する個体もおおく、調査に適した巣は限られていた。そのため、予定では異なる3つの繁殖ステージ(抱卵期、ガード期、ポストガード期)にロガーを装着してデータを得る予定であったが、抱卵期とガード期のみの装着とした。この2つの期間についてはこれまでに得られているデータと比較するためのデータが得られた。結果的に、大きく環境の異なる2シーズンのデータが得られたので、次シーズンの結果とあわせ、条件が異なるときに年齢と経験が採餌と繁殖に与える影響が変化するのかについて、検証が可能となるだろう。これまでの解析の結果、潜水パターンは明らかに前年までのデータと異なり、特に潜水深度と水塊の水温構造に大きな違いが見られる。解析は現在も継続している。 また、今回のフィリップ島滞在中、野生個体で実施するための準備として、飼育下の個体において、嘴ロガーによる捕食記録の取得およびECGロガーによる心電データの取得を試みた。まだ装着方法等に改善の余地はあると思われた。
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