研究概要 |
前半は昨年度、得られたデータの解析をすすめ、論文作成をすすめるとともに、野外調査の準備を行った。野外調査は10月31日から11,月31日にオーストラリア、フィリップ島ペンギンパレード内のリトルペンギン営巣地でおこなった。当初、1)リトルペンギンの潜水および加速度のデータを繁殖期間中の異なる3ステージ(抱卵、警護、クレイシ期)に雄雌各同数分集め、条件の異なる年のデータ間で比較すること、2)前年に予備的な実験を行った、嘴の開閉を記録するロガーを加速度深度ロガーとともに装着し、採餌効率に関する情報を得ることを予定していた。しかし繁殖シーズン初期、海洋はエルニーニョの影響を受けており、ペンギンの採餌効率は低く、繁殖を早めに始めた鳥の多くが途中で繁殖を放棄する結果となった。そのため、計画1)のデータロガー装着は十分な数のデータを得られず、計画2)は計画そのものをキャンセルせざるを得なかった。しかしその後、状況は改善され、計画1)については現地の共同研究者によってさらなるデータロガーの装着回収を行い、1月中旬までに十分なデータを得ることができた。結果的に、これまでデータが示していた海洋環境変動がペンギンの行動に大きな影響を与えていることが裏付けられた。これらのデータを元に、本年度中に3本の論文を執筆し、2本については現在投稿中であり、残りの1本についても間もなく投稿め予定である。 本課題は2007年度で終了するが、2008年より本課題代表者がフランスで研究を継続することになったため、今後は日仏豪の国際共同研究として継続するべく日豪の共同研究者と今後の計画について検討した。2008年はフランスよりポスドクを派遣し野外調査を行い、2009年にはオーストラリアより共同研究者がフランスを訪問し、研究結果のとりまとめを行うこととなった。
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