1)子葉原基の境界部におけるくぼみの形成機構の解析:共焦点蛍光顕微鏡によるシロイヌナズナ胚の立体像を用い、野生型胚の子葉原基および境界部における細胞の形態を調べたところ、L2層の細胞において境界部を特徴づける形状を持った細胞を同定した。またこの細胞の形態がcuclcuc2変異体胚において異常になることを見いだした。 2)CUCの下流遺伝子の解析:マイクロアレイとRT-PCRにより選抜した21のCUCU流候補遺伝子について解析を進め、そのうち少なくとも5遺伝子が胚でCUCとよく似た発現を示すこと、およびcuc1 cuc2二重変異体において発現が消失することが分かった。また、グルココルチコイド受容体融合タンパク質を用いたCUC1タンパク質活性誘導系において、下流候補遺伝子のうちLAS、CYP78A5、PANの3遺伝子の発現がタンパク質合成阻害剤の存在下でも誘導されることから、これらがCUC1の直接のターゲットである可能性が高いことが分かった。さらに、CUC2プロモーター制御下でLASを発現させるコンストラクトをcuc2 cuc3二重変異体に導入すると子葉の表現型が回復することから、LASがCUCの下流で機能していることが遺伝学的に支持された。現在同じコンストラクトをcuc1 cuc2二重変異体にも導入すると共に、同様のコンストラクトを他の下流候補遺伝子についても作製し、cuc1 cuc2への導入を進めている。これらと平行して、各候補遺伝子のノックアウトラインについても収集・解析を進めている。 3)cuc2 cuc3サプレッサー変異系統の解析:cuc2 cuc3サプレッサーとは別に、cuc3エンハンサーのスクリーニングを進めており、5変異体について系統の樹立と簡単な表現型の解析を進めた。そのうち1変異体はシーケンス解析の結果、cuc2の新しいアリルであることが分かった。
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