本年度は、既に解析を進めているapm1/drp3a、apm3/pmp38変異体、およびペルオキシソーム膜局在型アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(pAPX)、同じくペルオキシソーム膜に局在する22kDa(PMP22)タンパク質を用いて、ペルオキシソーム膜タンパク質の欠損によるペルオキシソーム形成機構について検討を行った。 PMP38、pAPX、PMP22はペルオキシソーム膜の主要な構成タンパク質である。PMP38が欠損したapm3変異体ではペルオキシソームが巨大化し数が減少することを既に見いだしている。この表現型がapm3/pmp38変異に特異的なものなのか、それとも主要な膜成分の減少により引き起こされたものなのか検討するため、pAPXおよびPMP22遺伝子にT-DNAが挿入されたシロイヌナズナの種子をABRCより取りよせ、それら遺伝子破壊株においてペルオキシソームをGFPで可視化させた。その結果、両遺伝子破壊株におけるペルオキシソームは大きさ、数ともに野生型と同じであることが明らかとなり、ペルオキシソームの巨大化はapm3/pmp38変異体に特異的であることが明らかとなった。 apm1/drp3a変異によりペルオキシソームの数は減少するもののapm3/pmp38変異体とは異なり巨大化せず長い形態をとる。そこでペルオキシソームの巨大化と伸長の関係を明らかにするためにapm1apm3二重変異体を作出し、ペルオキシソームの表現型を観察した。その結果、二重変異体のペルオキシソームは巨大化するものが優先的に存在することが明らかとなりペルオキシソームが分裂する際にはまずある程度大きくなり、その後、分裂している可能性があることが示唆された。
|