研究概要 |
交付申請書に記載した研究実施計画に従い、以下の工程を進めた。 <工程1.タンパク質試料の調製> 結論)再現性よくタンパク質試料を調製する方法を確立した。 内容)作業は全て4℃で行った。成体を解剖して被嚢を採取した。被嚢試料と等量の50mM酢酸バッファー(pH5.5)を加え、生物試料用ミキサーを用いて破砕した。9000g×30分の遠心分離処理を行い、上清を画分1として回収した。沈澱に3倍量の同バッファーを加え、同条件で遠心分離し、上清を除いた(洗い作業)。洗い作業を計3回繰り返した。沈澱に3倍量の1%SDS水溶液を加え、よく,撹拌した後、90℃30分処理した。同条件で遠心分離を行い、上清を画分2として回収した。1%SDS水溶液を用いた洗い作業を2度行った。沈澱に、1%SDS・0.1%メルカプトエタノール水溶液を加え、よく撹拌した後、90℃1時間処理した。同条件で遠心分離を行い、上清を画分3として回収した。各画分をSDS-PAGE電気泳動に供し、それぞれが異なるバンドパターンを示すこと(画分化の成功を意味する。)、および複数回の作業を通じて画分ごとにほぼ同様のバンドパターンを示すこと(再現性があることを意味する。)を確認した。 <工程2.成分の同定> 結論)同定法の変更を余儀なくされた。 内容)各画分に含まれるタンパク質成分を、SDS-PAGE電気泳動法により分離し、プロッティング法によりPVDF膜上に転写した。転写バンドを切り出し、エドマン法を用いてN末端アミノ酸配列を決定したが、有効な配列データを得るに到らなかった。バンドに含まれるタンパク質量が検出限界を下回ったこととN末端がブロックされていたことが原因であると推察された。解決策として、液体クロマトグラフィーによる分離とタンデム質量分析をくみあわせたシステムを採用した。微量の試料を十分に評価できることが分かったからである。現在、同定作業を始めたところである。
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