研究概要 |
高等植物の液胞膜上のサブ領域bulbを染め分けるために,γ-TIP(液胞膜とbulb両方に局在)とAtRab75(bulb以外の液胞膜に局在)のそれぞれに蛍光タンパク質を融合するようなコンストラクトを作製した.緑と赤(GFPとmRFP),緑と黄緑(GFPとVenus)の組み合わせで,同時に二色を発現するようなバイナリベクタを合計9種構築し,形質転換シロイヌナズナを作製した.また,AtVam3(液胞膜とbulb両方)とSporanim(液胞内腔)についても,γ-TIPやAtRab75と,異なる色での組み合わせで発現させるようなバイナリベクタを合計6種構築し,形質転換シロイヌナズナを作製した. bulb様の構造が存在する傍証を複数得た.1)細胞質にGFPを発現するような形質転換植物の子葉の表皮において,液胞内腔に突出する細胞質領域があることを確認した.二次元的にはリング状,三次元的には球状をなしており,細胞表層の細胞質部分と原形質糸で連続していた.2)Vam3のown promoterでGFP-Vam3を発現する形質転換植物(植村知博博士が確立)を観察することにより,花器官などこれまで35Sプロモーター下では観察することができなかった組織においてもbulb様の構造を確認した.急激な細胞伸張を起こす直前の花弁やcauline leafで高頻度に観察され,特に気孔の孔辺細胞においてよく見られた.
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