研究概要 |
高等植物の液胞膜上のサブ領域bulbの研究を「構造」「質」「機能」の観点から研究した.「構造」について : bulb様の構造が存在する傍証を複数得た.1)シロイヌナズナ培養細胞AlexでγTIP-Venusを発現させた場合液胞とbulbが観察された2)PtdIns(3)Pを可視化するvenus-2xFYVEの形質転換シロイヌナズナの発達中の子葉でbulbが観察された.「質」について : 同一細胞の中でTagRFP-Vam3とGFP-AtRab75の発現により,液胞を赤と緑で同時に可視化した.これまでGFP-AtRab75単独発現ではbulbは可視化されなかったが,TagRFP-Vam3との共発現ではbulbが出現してしまうという予想外の結果となった.単位面積あたりの蛍光強度を取り,(bulbの領域)/(同一細胞内の他の液胞の領域)の比を,TagRFP-Vam3とGFP-AtRab75について行ったところ,常にTagRFP-Vam3の価の方が大きかった.このことは,bulbでTagRFP-Vam3が選択的に濃縮されていることを示唆する.「機能」について : 遺伝学的アプローチに着手した.顕微鏡観察ベースで,順遺伝学的に液胞の形態やbulbの頻度が増減するもののスクリーニングを開始した.逆遺伝学的には,これまで液胞の形態異常が知られている既知の変異体とのかけあわせを行った.その結果,bulbの出現頻度が減る変異体を二つ見出した.また,bulbの形成過程を長時間のタイムラプス撮影で捉える試みをした.二枚の液胞膜が接する場所で,蛍光強度が上昇するとほぼ同時に曲率の顕著な変化が見られ,bulbが形成される様子が捉えられた.
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