研究概要 |
ナミニクバエSarcophaga similis幼虫のさまざまな時期に、in vitroで合成した概日時計遺伝子period, timelessの2本鎖RNAをさまざまな濃度で注射した。その後、幼虫をさまざまな光周期条件下で飼育し、光周反応への影響を調べた。「2本鎖RNAの注射により概日時計が停止し、光周期を読み取ることができなくなる。そのため、長日条件下であっても休眠、あるいは短日条件下であっても非休眠になる」と予想したが、そのような個体はわずか数%であった。遺伝子発現が実際に抑制されているかどうかについてはさらなる検討が必要であるが、本種ではRNA干渉による遺伝子発現の抑制が困難であり、遺伝子導入による発現抑制など、他のアプローチが必要であると判断された。 定量的RT-PCRによってperiod遣伝子の発現を調べた。休眠を誘導する短日条件下では、暗期の前半に発現のピークが見られた。非休眠となる長日条件下では、暗期の中頃から後半に発現のピークが見られた。短日条件で飼育しその後長日条件に移すと、休眠への発生予定は消去され、非休眠となる。このような幼虫のperiod億伝子の発現パターンは、短日、長日で見られたパターンと'は異なり、中間的なものであった。短日に特異的な発現パターンが休眠誘導に重要なのかもしれない。 光誘導相への光照射の有無によって発現が変化する遺伝子を探索するため、改めてsubtractionを行った。数百の遺伝子断片を対象として、diff6rential display法を行ったが、現段階で陽性と考えられるのは5遺伝子断片であった。現在、さらに解析を進めている。
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