研究概要 |
前年度設計したプライマーを用いて,広範な分類群のPCR,配列決定を行った.最も成績の良かった核,ミトコンドリアそれぞれのアミノ酸コード領域(核:Histone 3;ミトコンドリア:COI)とリボソームDNA(核:18S;ミトコンドリア:16S)領域を用いてpreliminaryな解析を行った.その結果,どの領域においても,シラミとコナチャタテにおいて塩基置換速度の加速とGC含有量の上昇が見られることが明らかとなった.また,GC含有量の上昇は,アミノ酸コード領域においては第3コドンで,リボソームDNAではループ領域で有意差が見られたものの,第1,2コドンおよびリボソームのステム領域においては有為な違いが見られなかった.ただしこれらの結果は系統情報を加味していない結果のため,来年度はこれらのデータを用いた系統解析を行った上で,系統的要因を取り除いた上で解析を行い,これらの特異的な進化傾向に相関が見られるかどうかを確認する. 前年度行ったパイロット研究であるチャタテムシ目チャタテ科の高次系統論文を完成させ投稿し,出版された.また分子系統の結果を再検討する目的で行ったジュズヒゲムシの翅基部構造に基づく系統解析の結果も論文として完成させ,投稿し,出版された.
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