PpLFY1遺伝子の標的遺伝子を同定するためのChIP実験のために、PpLFY1遺伝子の抗体が必要となる。抗原としてHisタグ組換えタンパク質を用いることとし、それを大腸菌で発現させて、抗原の精製を行った。まずPpLFY1遺伝子コード領域の全長cDNA配列をpET28(b)ベクターにクローニングして、配列確認を行った。コンストラクトを発現用ホストであるBL21-CodonPlus(DE3)-RILに形質転換して、組換えタンパク質の発現条件を、温度や時間、培地などの条件をふって検討した。その結果1mM IPTGでヒメツリガネゴケの生育温度である25度で、6時間発現誘導をかけるのがよいことが分かった。発現するタンパク質は可溶性画分に回収されるので、そのままニッケルカラムで精製することができた。また精製されたタンパク質の予想される大きさのバンドが確かにHisタグ組換えタンパク質であることをウエスタンブロット解析により確認した。ただし精製されるタンパク質は収量が低いので、実験を繰り返すことで抗原に必要なタンパク質量を集める作業を進めている。 またこれまでに作出していたPpLFY遺伝子破壊株はコード領域の真ん中にマーカー遺伝子を挿入した物で、RT-PCRによりPpLFY遺伝子は5'側、3'側共に部分的に発現しており、表現型がleakyである可能性が考えられた。null変異体作出のためにコード領域を完全に欠失させたコンストラクトを作製して、ヒメツリガネゴケの形質転換を実施した。
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