研究概要 |
今年度は,筑波山頂御幸ヶ原の集団に設定した調査集団での個体識別・遺伝解析用試料の採取を中心に行った。また,新たな遺伝子座においてマイクロサテライトマーカーの開発を進め,集団解析に適した10遺伝子座程度のマーカーを単離した。今年度新たに個体識別し,試料採取を行った筑波山集団のサンプルからは,QIAGEN社製Dneasy Plant Kitを用いてDNAの精製を行った。 平成18年度に永久方形区を設定した筑波山頂御幸ケ原付近の集団においては,個体識別した50個体の繁殖動態個体(個体分布位置の確認,性型およびサイズ)を継続調査した。その結果,哺乳類等による地下部球茎の捕食により,方形区内の個体が著しく減少していたことから,昨年よりも調査区画を拡大して新たに23個体を識別し,繁殖動態を追跡する対象に加えた。これらの23個体と,昨年度に個体識別した個体を加えた繁殖個体の全ての試料については葉片からのDNA精製を終了した。秋季調査では,新たに識別した13個体の雌株から果実を採取し,胚からのDNA精製を進めている。 さらに,以前より追跡調査を行っている石川県金沢市および長野県安曇野市の集団においても,引き続いて個体群動態に関する野外調査を行った。 最終年度は,分子マーカーを用いた筑波山集団の種子の父性解析を行い,繁殖成功度を石川,長野の集団と比較する。また,新たに単離したマイクロサテライトマーカーはテクニカルノートとして投稿論文に纏める予定である。
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