研究概要 |
オーストラリア17地域(タスマニア島、ロットネスト島、クリスマス島、ココス島、木曜島、ノース・ストラドブローク島の離島を含む)、と、ニュージーランド3地域(スチュワート島、南島、北島)で,双翅目昆虫の海洋性アシナガバエについての徹底的な分布調査を行い,多数の標本の収集を行った。その結果、オーストラリアには従来Cymatopus属3種とScorpiurus属1種の分布が記録されていたが、Cymatopus属については、新たに3種の未記載種が発見された。また、Scorpiurus属は今回の野外調査では採集されず、オーストラリア博物館の収蔵標本調査や研究者からの聞き取りから、オーストラリアの記録は間違いの可能性が高いことが判明した。一方、ニュージーランドからはAbatetia属とScorpiurus属の2属がそれぞれ1種のみが知られていたが、今回の調査により、前者では少なくとも5新種、後者では2新種が発見された。採集した未記載種については、新種記載の準備をすすめている。DNA解析は、すべての調査地点でDNA解析用のアルコール標本を採集することができた。これらの採集された全ての種についてDNAの抽出を行い、ミトコンドリアのND5遺伝子の1075塩基対について分子系統解析を行っている段階である。 ハワイ産の海洋性のアシナガバエについて、第6回国際双翅目会議で、「Biogeography and phylogeny of marine dolichopodid fly in the Hawaiian Islands (Diptera, Dolichopodidae)」というタイトルで口頭発表を行った。
|