研究概要 |
本年度の調査は北半球か5はイギリス,南半球からはニュージーランド2地域(北島,南島)で,双翅自昆虫の海洋性アシナガバエについての徹底的な分布調査を行い,多数の標本の収集を行った。その結果,イギリスでは、海岸に分布している種類の共通祖先となる原始的なAprosylus属の全4種(Aprosylusceltiber,Aferox,Amitis,Araptor)を採集した。一方,ニュージーランドからはAbatetia属とScarpiurus属の2属がそれぞれ1種のみが如られていたが、今回の調査により、前者では少なくとも7新種,後者では2新種が発見された。前回の調査では採集できなかったScorpiurus属の模式種であるS.aenesensを得ることが出来た。Scorpiurus属の種は,他の海浜性アシナガバエとは異なり,マングローブがはえている干潟の土の上で生活することが判明した。採集した未記載種については、新種記載の準備をすすめている。外部形態観察では,雄前脚の第一ふ節の電子顕微鏡写真の撮影を行なった。DNA解析は,すべての調査地点でDNA解析用のアルコール標本を採集することができた。これらの採集された全ての種についてDNAの抽出を行い,ミトコンドリアのND5遺伝子の1075塩基対について分子系統解析を行っている段階である。
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