ショウガ科植物にのみ見られるフレキシスタイリー(雌しべが能動的に動くにとによってもたらされる雌雄異熟性の一種)の起源を探るため、フレキシスタイリーを示す個体と示さない個体が存在するショウガ科のAalpinia nieuwenhuiziiを対象に、マレーシア国サバ州での野外調査及び遺伝解析用のサンプル採取を予定していたが、マレーシア政府に申請した現地の調査許可の取得に当初予定より時間がかかり、許可が下りたのが11月末であった。12月-3月は現地の雨期に当たり、観察対象種の開花が見込めない状況であったため、次年度に野外調査を見送ることになった。 今年度中のAlpinia nieuwenhuiziiの入手が不可能になったため、やむを得ず、以前別の研究のために採集保存していた日本に生育する同族種のアオノクマタケラン(alpinia Intermedia)を用いて、集団内および集団間の遺伝的変異を調べるためのマイクロサテライトマーカーの開発に取り組んでいるが、ショウガ科植物では初めての試みであることもあり、未だ完成に至っていない。今後、引き続きマーカーの開発に努めるとともに、他に十分量の遺伝変異が得られるマーカーを求めて、ISSR(Simple Sequence Repeats:SSR)やAFLP(Amplified Fragment Length Polymorphism)等、他の遺伝解析法を予備的に検討している。
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