今年度は、ヒトHO-2の大量培養・精製法の確立を行ってきた。ヒトHO-1やバクテリア(ジフテリア菌)由来のHO(HmuO)の精製法では基本的に、硫安分画、陰イオン交換カラム、ゲル濾過で高純度の精製標品が得られたが、HO-2ではそれでは不十分だったので、精製プロトコールにヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーを追加した。その結果、かなりの純度の標品が得られるようになった。 得られた標品を用いて、結晶化スクリーニングを行った。その結果、ポリエチレングリコール(PEG)を用いた条件で、微小な板状結晶を得た。得られた条件と類似した条件での結晶化も行い、再現はしたが、特段に良質の結晶はいまだ得られていない。 得られた結晶を用いて、つくばのPhoton Factory(PF)のBL17で放射光照射実験を行った。その結果、全ての結晶が割れてしまっていることが確認できた。結晶が物理的に弱く結晶を拾い上げる際に割れてしまっているか、抗凍結剤が不適であることが示唆される。 その中で、一番高角度まで回折したものは、3.5A程度であった。それから、格子定数を見積もることができ、その結晶は非対称単位に3〜5分子程度のHO-2を含んでいることが計算された。 今後は、この結晶化条件の類似条件を中心に、良質の結晶を得るための結晶化条件のスクリーニングと、それと並行して、新規結晶化条件のスクリーニングを行い、構造解析に適した良質の結晶を得ることに努める。良い結晶が得られれば、回折強度データを収集して、構造解析を行っていく予定である。
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