研究課題
ポリシアル酸はシアル酸が8-20o重合した構造をしており、脳に偏在する糖鎖構造である。ポリシアル酸は神経細胞接着分子上に結合しており、胎児脳の発達過程に一過的に発現し神経細胞の接着を負に制御することにより、脳の正常な発達を担う重要な分子である。これまでに、神経細胞やグリア細胞におけるポリシアル酸の存在は明らかになっているが、ミクログリア細胞にポリシアル酸構造は調べられていない。そこで、本研究ではミクログリア細胞におけるポリシアル酸の存在を証明し、その機能を明らかにすることを目的としている。まずマウス脳から樹立されたミクログリア細胞の細胞株(Ra2,6-1細胞株)を用い、それぞれの細胞株にポリシアル酸が存在するか否かを調た。ポリシアル酸抗体(12E3)、ジシアル酸抗体(S2-566)を用いた細胞免疫染色を行った結果、ミクログリア細胞にポリシアル酸が存在することが示唆された。また、その際ポリシアル酸を特異的に認識し、内部シアル酸を切断するEndo-N-acyl-neuraminidase(Endo-N, Prof.Troy F.A、UC Davisより恵与された)を用いて、染色性が消失することを確認した。さらに、シアル酸重合体の生合成にかかわるα2,8-シアル酸転移酵素を特定するために、上記ミクログリア細胞株について、RT-PCR法によってこれまでクローニングされているST8SiaI-VIの発現を調べた。この解析で、ポリシアル酸の生合成に関わることが示唆されるα2,8-シアル酸転移酵素PSTとSTXの発現が確認された。ポリシアル酸の機能を調べる一端として、ミクログリア細胞をLPSで活性化すると、ポリシアル酸が10分以内で消失することがわかった。
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