SUFマシナリーの機能の解明を目指し、生物種として大腸菌および好熱菌Sulfolobus tokodaii に注目した。大腸菌(Escherichia coli K12 MG1655)では6種の成分(SufABCDSE)、S. tokodaiiでは4種の成分(SufD' BCS)がゲノム上に存在している。本研究の目的であるSUFマシナリーの多成分複合体によるFe-Sクラスター合成機構および機能調節機構の解明に向けて、平成19年度は以下の項目を実施した。 1. SufDの機能解析 SufDの結晶構造に基づいて様々な部位に変異を導入し、in vivoのアッセイ系を用いた機能解析を行った。この結果、分子内部に完全に埋もれた活性残基を同定することができ、この機能には構造変化を伴うことを推定した。 2.多成分複合体のX線結晶構造解析と機能解析 大腸菌に由来するSufC/SufD複合体の結晶構造の決定に成功した。この構造に基づき複合体中のSufCに様々な変異を導入して、構造変化の有無をクロスリンク法により調べたところ、この複合体中のSufCはATP依存的にダイマーを形成することがわかった。このダイマー形成により、SufC/SufD複合体には大きな構造変化が起きることが強く示唆された。
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