研究概要 |
ジオールデヒドラターゼ再活性化因子(DDR)に部位特異的変異を導入し、ジオールデヒドラターゼ(DD)の再活性化やDD-DDR複合体形成への影響を解析した。DDRのATP結合に関わるαサブユニット側のAsp8,Asp413をそれぞれAsnに変異させた変異型DDR(Dα8N,Dα413N)は、どちらもDD再活性化能を失っていたが、Dα413Nは野生型の約50%のATP加水分解活性を保持していた。また、どちらの変異型DDRもDDとの複合体は形成出来るが、野生型とは異なる傾向を示し、これらの残基がATPの加水分解と正常なDD-DDR複合体形成のどちらにも重要であることが示唆された。さらに、DDRのα/βサブユニット界面に存在するMg^<2+>の結合に関わるαサブユニット側のThr105,Asp166,Asp183、およびβサブユニット側のGlu31にそれぞれ変異(Tα105A,Dα166A,Dα183AおよびEβ31Q)を導入したところ、Eβ31Qだけが部分的なDD再活性化能を有した。また、この変異型DDRはDDとの複合体形成能も保持していた。DDβサブユニットはDDRβサブユニットと類似したフォールドをしており、DDRのGluβ31に相当する位置にはGluβ97が存在する。このGluβ97をGlnに変異させた変異型酵素は野生型酵素と同等の酵素活性を示すものの、DDRによる再活性化は受けず、DD-DDR複合体も形成しなかった。この結果からDD-DDR複合体中ではDDRのGluβ31に代わって、DDのGluβ97がMg^<2+>を介してDDRαサブユニットと相互作用することが示唆された。また、ATP結合型DDRの結晶構造解析を行った。ヌクレオチド非結合型DDRの結晶にATPγSをソーキングしてSPring-8にてデータ測定を行った。しかし、回折パターンに問題があり、構造決定には至っていない。
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