平成19年度において申請者はβセクレターゼ活性が阻害されたときのHS6ST3蓄積部位について検討した。HS6ST3-GFPは定常状態ではゴルジ体のマーカータンパク質であるGM130とco-localizeするが、βセクレターゼインヒビターZ-VLL-CHOで6時間細胞を処理した後では細胞内に広範囲に広がった局在を示す。このときゴルジ体マーカーGM130、小胞体マーカーPDI、エンドソームマーカーであるEEA1との局在を比較したところ、小胞体マーカーのPDIと良くco-localizeしていた。また、HS6ST3-GFPのゴルジ体への移行が起こっているかどうかについて調べるために35Sメチオニンを用いたPulse-chaseの実験を行ったところ、Z-VLL-CHOを添加しないコントロールでは60分経過するとEndoH resistantのバンドが現れるが、Z-VLL-CHO添加した場合はEndoH sensitiveのままであった。このことからもβセクレターゼの活性を阻害することによりHS6ST3-GFPが小胞体に留まっていると考えられる。また、βセクレターゼの基質の一つであるアミロイド前駆体タンパク質(APP)がHS6ST3-GFPの細胞内局在に影響を与える因子として働くかについて検討した。その結果、HS6ST3-GFPとAPPは局在の一致が観察された。しかしながら、抗GFP抗体で免疫沈降を行い、抗APP抗体でウエスタンブロッティングを行ってもAPPのバンドは検出されず、両者が相互作用しているという証拠を得ることができなかった
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