研究概要 |
Nek11は我々が同定してきた分子であり、細胞核小体で機能する新規キナーゼで細胞周期制御に関わることが強く示唆されるが、その生理機能の解析は未だ不十分なままである。本研究課題では、新しい細胞周期制御因子としてNIMAファミリーキナーゼに着目し、独自に見出してきたNek11の生理機能解明を推進するため、Nek11結合蛋白質の同定を目的とした。そのため、タンデムタグ(FLAGとHAタグ)を融合させたNek11蛋白質を培養細胞に安定発現させ、それら培養細胞からNek11複合体を抗体アフィニティーカラムで精製後、それらの構成分子を質量分析や抗体などを用いて同定し、Nek11複合体の性状を解析する予定を平成18-19年の2カ年で計画した。実際にFLAG,HAタグつきのマウスのNek11遺伝子を組み込んだベクターpLXINで作製したマウス組み換えレトロウイルスを作成し、その組換えウイルスを種々のマウス細胞株に感染させてみた結果、Nek11の安定発現細胞株を樹立することは極めて困難であることが判明した。しかし、一過性発現ではタグ付きNek11の発現は可能であったため、Nek11の導入発現が導入細胞に対してなんらかの悪影響、細胞毒性を与えていることが示唆された。そこで、種々のNek11遺伝子変異体を作成し、Nek11蛋白質のどの領域が細胞毒性をもたらすのかを詳細に検討したところ、非触媒部位の特定の領域が細胞毒性、アポトーシスを誘発するという結果が得られた。また、Nek11の一過性発現が可能なことから、Nek11結合蛋白質を一過性することが予備検討で示されて、今後詳細に解析していく予定である。
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