1 1分子のDNAの力学特性と1分子DNA/1分子タンパク質の相互作用を同時計測可能な顕微鏡の完成 以下に示す光学系の開発とDNA1分子操作系部の開発を通じて、顕微鏡の開発を行った。 (1)光学系の開発 蛍光1分子検出部の開発:高感度CCDカメラの導入、多色同時イメージング(1分子蛍光エネルギー移動(FRET)や、DNA・タンパク質・ヌクレオチドの相互作用観察)用の光学フィルターの設置。 磁気ビーズ観察系の観察:近赤外光源、蛍光1分子観察用カメラと同期したCCDカメラの導入。 (2)DNA1分子操作系部の開発:永久磁石の精密位置制御系の構築。 2 蛍光1分子イメージングのためのタンパク質とヌクレオチドの蛍光標識 タンパク質が活性を失わないように蛍光標識を行った。ヘリカーゼの一種であるUvrDの蛍光標識部位(Cys残基)を特定するための系の立ち上げを行った。また、分子生物学的手法によりビオチン化ペプチドタグをUvrDに導入し、ストレプトアビジンとの強固な相互作用を用いて、ATPase・ヘリカーゼ活性を損なうことなく特異的に半導体超微粒子や蛍光ビーズの標識することができた。また、Cy3-ATPを合成し、それがUvrDの基質となることを確認した。 3 表面コーティング法の新規開発 背景光のもととなる蛍光標識したタンパク質のガラス表面上への非特異吸着は、ポリエチレングリコール(PEG)による表面コーティングで防止できることを確認し、その表面上でDNA分子操作が可能なことを確認した。また、脂質コーティングも非特異吸着抑制に有効であることを確認した。
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