ガラクトースで誘導されるプロモーターより機能欠損型の変異rRNAを発現させる酵母プラスミドを作成した。この変異rRNAには活性部位の変異以外にも、活性に影響を与えない位置に18-merの特異的タグ配列を挿入してあり、細胞内にもともと存在する内在性rRNAと区別をつけることが可能になっている。このプラスミドはガラクトース存在下で変異rRNAを発現するが、この変異rRNAは本研究課題である「リボソームRNAの品質管理機構」により分解されることを、リアルタイムPCR法により明らかにした。タグつきの野生型rRNAを発現させた場合にはこの分解が起こらないことを確認した。 機能欠損型rRNAのプラスミドについて、酵母の遺伝子ノックアウト株6000株にトランスフォーメーションを行い、ほぼ全ての株について形質転換体を得た。これらの酵母株をナイロンメンブレン上でコロニー形成させ、タグ配列をプローブとした「コロニーノザン法」を行って、それぞれの株中で蓄積されている変異rRNAの量を定量した。野生株に比較してより強いシグナルを示す株は、欠損している遺伝子がこの品質管理機構に直接的・間接的に関与している株であると想定された。これらの候補株300株に対して、野生型のタグつきrRNAを発現するプラスミドをトランスフォームし、すべての株について形質転換体を得た。これら300の株の中で、野生型と変異型のrRNAの存在量の比較を行い、現在、候補遺伝子の範囲を狭めつつある状況である。
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