研究課題
平成18年度はCOの含硫アミノ酸代謝制御における作用機構について細胞レベルでの検討をおこなった。細胞モデルとしてマクロファージへの分化能を有するヒト単球由来株であるU937細胞を用いてCO処理後の含硫アミノ酸メタボローム解析を行なったところ、処理後30分以降で細胞内のmethionine, s-adenosyl-methionine量が有意に増加しcystathionine量が減少していた。それに伴いタンパク質へのメチル基転移反応の亢進を認めた。この反応はメチル化阻害物質であるAdOxによってreverseされることからCOがメチル基転移反応の制御物質であることが示唆された。またsiRNAによるCBSの発現抑制された細胞ではCO処理してもタンパク質のメチル化レベルに変化が見られないことからCOはCBSの活性を阻害することによって細胞内のメチレーションサイクルを活性化し基質レベルでメチル基転移反応を制御することが示された。また内在性のHO-1の発現を誘導するためU937細胞をPMA処理によって分化誘導させると処理後4時間以降で顕著なタンパク質のメチル化亢進が認められるが、HO阻害剤のZnPPを処理した細胞ではPMA誘導性のタンパク質メチル化を低下させることからストレス応答性に産出されたCOが細胞内のメチレーションレベルを変化されることがわかった。次に、COよってメチル化が制御されるタンパク質の同定を試みた。CO処理30分後の試料を二次元電気泳動により展開し抗ADMA抗体によりメチル化レベルに差異のあるスポットをMALDI-TOF MSによって解析したところ、解糖系酵素群、RNA結合タンパク質、シャペロンタンパク質等複数同定された。次年度はこれらの修飾部位の同定、メチル化修飾による細胞機能相関について検討を加える。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Developmental Neurobiology 67
ページ: 456-473
細胞工学 25・12
ページ: 1427-1431