研究課題
オートファジーは窒素飢餓に応答して誘導され、細胞質タンパク質を非特異的に二重膜小胞(オートファゴソーム:AP)に取り込み、液胞へと輸送後、分解する。分解産物であるアミノ酸の再利用は、窒素飢餓条件での生存維持に必須である。酵母においてオートファジーに必須なAtgタンパク質の多くは液胞近傍のドット状構造であるPAS(pre-autophagosomal structure)に局在し、AP形成を行っている。Atg9は膜貫通型タンパク質であり、その細胞内挙動の理解はAPへの膜供給機構を解明する上で重要と考えられる。前年度にオートファジー誘導にはAtg17依存的なAtg9のPAS局在が必要であることを示したのに続き、本年度はAtg1がAtg9のAtg17依存的PAS局在に必須であることを見出した。Atg1はタンパク質キナーゼであり、そのキナーゼ活性のオートファジーへの必要性が議論となっている。キナーゼ活性をもたない変異型Atg1(Atg1^<KD>)を発現する細胞ではAtg17依存的なAtg9のPAS局在は阻害されず、逆にPASに高度に蓄積していることを見出した。このことからAtg1のキナーゼ活性はAtg9のPASから細胞質へのリリースに必要であると考えた。これまでAtg2がこのプロセスに必要であることが示されているが、Atg2のPAS局在がAtg1^<KD>発現細胞では阻害されていることが明らかとなり、Atg1のキナーゼ活性はオートファジーに必要との結論を得た。
すべて 2007 その他
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Molecular Biology of the Cell in press
ページ: Manuscript ID:E07-10-1048R
IUBMB Life in press
ページ: Manuscript ID:TBMB-08-0030-WJW.RI