研究課題
所属研究室において共同研究として行ってきた分裂酵母のlocalizome(全遺伝子産物の細胞内局在決定)が終了し、この成果はNature Biotechnology誌に掲載された。平成18年度は、論文の完成、追加データの取得、局在情報のデータベース化、細胞株の保存などに従事し、約5年間にわたる成果の総まとめに大きく貢献することができた。また6月に開催された第20回IUBMB国際学会において発表を行った際には、さまざまな方面からの関心を集めた。論文発表に伴って所属研究室のウェブサイトから公開されている分裂酵母の全遺伝子産物局在データベースは、今後のポストゲノム的研究および細胞生物学的研究において重要な位置を占めていくものと思われる。上記研究と並行して、SUMO化によるタンパク質局在制御についてlocalizomeを利用して解析するための基盤を整えることができた。分裂酵母のSUMOであるPmt3は、通常の場合、核、SPB、核内ドットに局在するが、これまでにタンパク質核外輸送担体Crm1の阻害剤であるレプトマイシンB(LMB)でGFP-Pmt3発現株を処理すると、Pmt3局在が変化することが明らかとなった。さらに、localizomeで取得したORF(open reading frame)-YFP発現株に対してLMB処理を行った結果、分裂酵母全タンパク質のうち約20個のタンパク質が同様の局在変化を示すことが分かった。核-細胞質問輸送を介したこのようなタンパク質局在制御メカニズムが存在することは大変興味深く、今後はタンパク質のPmt3化修飾を関連付けながら同メカニズムについて解析する予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Nature Biotechnology 24・7
ページ: 841-847