【1.筋分化時における細胞内及び小胞体内カルシウム濃度変化の解析】小胞体内カルシウムの枯渇は病理的小胞体ストレスの発生原因の一つである。カルシウム濃度インディケーターとして小胞体局在型カメレオンを用い、次の二点に注目し検討を始めた。 A.筋分化時における小胞体から筋小胞体へのダイナミックな変化に伴い、小胞体からカルシウムの流出が起こり、小胞体内カルシウム濃度の低下が引き起こされている可能性。 B.筋小胞体としての機能獲得に伴い、小胞体内にカルシウム結合タンパク質を多く発現させるようになるため、一時的に小胞体内の遊離カルシウム濃度の低下が生じる可能性。 【2.筋分化時におけるタンパク質発現パターン変化の解析】筋芽細胞から筋管細胞への構造的・機能的変化に伴い、タンパク質発現調節の変化が生じる。小胞体ストレスが発生する筋分化初期に特に注目し、ディファレンシャル二次元電気泳動法による解析を行った。また病理的な小胞体ストレスとの違いを明らかにするため、増殖中の細胞、筋分化処理細胞、小胞体ストレス誘導細胞の三者間での比較を行った。 【3.筋分化に伴って生じる死細胞・生細胞間のタンパク質発現パターンの相違解析】筋分化初期(ストレス発生時)において、アポトーシスによって除かれる細胞、分化過程に進む細胞のいずれの道に向かうかという選択が生じる。この運命決定はいかにしてなされるのか、その決定因子が存在するのかを解明するため、筋分化初期に生じる死細胞と生細胞、それぞれのタンパク質発現パターンをディファレンシャル二次元電気泳動法により解析を行った。
|